2007 アメリカ
122分 サスペンス
イーサン・コーエン他
警官との度重なる交渉、徐々に陽が暮れる空などに、まるで実際の事件現場を生中継で見ているかのような錯覚を起こした。最後まで犯人たちが報われないのもリアルだった。
笑ってしまうようなメイクのゾンビの中にあって、絶えず感じる切迫感は何だろう。非現実なゾンビでなく、「元々は人間」であったことを強く感じさせるゾンビの演出は新鮮であった。
犯人逮捕のための、常軌を逸した執念に思わず固唾を飲んでしまう。カーチェイスの迫力もさることながら、ラスト20分からの展開には目が離せない。
団地という限られた空間なのに、どうしてこうも世界が広げられるのか。監督のとてつもない力を感じた。
邦画
生い立ちの回想や何気ない会話から、脱獄した9人それぞれの人間像をはっきり見せている。皆近寄りがたいが、素直で不安ながらも前に突き進む勇気に心動かされた。
2003
120分 ドラマ
豊田利晃
誰も結末を予測できないであろう作品。気付かぬ内に敷かれた伏線と時間軸の説明には、驚きを通り越して笑うしかなかった。
出演者12人全員、はじめの印象とは違う人間性を徐々に表し、物語が白熱してくる。会議室とそこにいる12人だけで、感情移入させる巧さがある。
剣の腕は弱く、心優しい侍が見せる悲願の仇討ちに心打たれた。彼を取り巻く長屋の住人たちは、いつまでも眺めていたい愛らしい存在だった。
三谷幸喜も役者も、とても真似できない芸を見せてくれた。登場するキャスト1人1人に思いが残る、幸せな作品。
深い意味はわからないが、異常な殺し屋の動きが頭に焼きついた。絶対に近寄りたくない人間と、彼を追い詰めようとしつつも逆に追い詰められる人間を、傍から見るのは堪らない。